妄草の想原

妄想、連想、感想、そして愛想

【読書】 「夜は短し歩けよ乙女」を読んでみた

太陽の塔」の項でも言ったように、しばらくは森見先生の著作を語ろうかと思います。

森見先生は、作品を「子供たち」と言い、今回の作品を「長女」と呼び、代表作の一つとされてるあの作品です。

 

 

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森見登美彦著「夜は短し歩けよ乙女

まぁ、この作品が最近(2017.4くらい?)映画化したじゃないですか?

それに便乗して、この作品の感想文でも書こうと思うじゃん?

ぶっちゃけ、アクセス数欲しいじゃん?

 

では、いつものように、本の裏に書いてあるあらすじでも。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する”偶然の出会い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。

そんな二人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。

 

全体的な感想としては、可愛らしさと、哀愁の入り混じった小説だなぁと。

それをキュートでポップに書き分ける技術、改めて思うと感服するレベルで凄すぎる!!

穿った見かたをすると、天然女とストーカー男の話って印象にも見えるような気がする。

あれ、またストーカー物?

 

大まかな話としては。

春、夜の先斗町、主役である彼女と路傍の石ころである先輩の記録である。

数々の素敵な出会い、沢山の飲み会を渡りながらもお酒を飲み幸せを感じる彼女、色々な不幸があり猥褻物陳列罪スレスレの先輩w

夏、下鴨神社の古本市、古本の大海を泳ぐ彼女と、ロマンチックエンジンが暴走する先輩。

幼少期に別れた絵本を思い出し、失ったことを嘆く彼女と、彼女との「薔薇色の未来」を求め奮闘する先輩。

秋、大学の学園祭、青春劇場(青春の汗と涙の結晶)で主役を演じる彼女と、青春闇市(青春の押し売り)にて全力でハッピーエンドを求める先輩。

「韋駄天コタツ」にゲリラ演劇「偏屈王」事件に巻き込まれる二人。

冬、風邪が流行る季節、風邪をひけないと嘆き数々の知人の看病に周る彼女と、風邪をひいて万年床に伏せるも、そこから妄想と言う名の大冒険をする先輩。

知人の口々から先輩の活躍を知る彼女、何故彼女を好きになってしまったのかと葛藤する先輩。

最後は、誰もが赤面をすることうけあいなハッピーエンド!!

 

登場人物は、「太陽の塔」みたいなダメ人間の集まりではないが、曲者揃いな面々。

本人の知らぬ間に主人公となっている、天然で不思議ちゃんな感じの子である「彼女」こと黒髪の乙女。

路傍の石ころであり、彼女に恋をしている間違った方向で一途な妄想家の先輩

色あせた浴衣がトレードマークの自称天狗、謎の怪人樋口さん。

樋口さんの友達で一癖ある、酒豪の美女羽貫さん。

春画収集家のスケベおやじである東堂さん。

みんなから恐れられてる金貸しの李白さん。

じじくさい言葉を話す美しいけど生意気な古本市の少年。

先輩の友人であり、多彩な男で美貌を誇るが硬派な性格の事務局長。

好きな女と再会するまでパンツを穿き替えないと誓ったパンツ総番長。

象の尻と言う不思議な展示物をする紀子さん。

他にもいるけど、メインはだいたいここらへん。

 

ここからは、地味なネタバレ。

彼女の愉快な行動と、先輩の阿呆な奔走の果てに。

地味に先輩への好感度が上がってく彼女。

古本市では、「はちきれんばかりの紳士的な行為」も先輩サイドからみたら「底抜けの阿呆」であり、「白紙にした計画が勝手に進行して対応できなかった」訳であり。

学園祭では、「この人はたいへん良い人だなぁと思った」裏側には、神様のご都合主義に感動する理由、「あまりにも美しく、あまりにも羨ましかったから」であり。

そして、最後に「頬杖をついて、お昼寝途中の猫のようにぼんやりしている」風景では、「外堀を埋めることを止め、さらに困難な課題へ挑む人間になった」と困惑している。

だが、この物語は、誰もが赤面することうけあいなハッピーエンドである!!

 

印象に残る言葉選びとイメージ豊かな文章の流れ、腐れ大学生とかわいい乙女の書き分け。

本当に、凄い作品だと感じた。