妄草の想原

妄想、連想、感想、そして愛想

【読書】 「太陽の塔」を読んでみた

今回の読書コーナーは、アレがアレなので、アレを集中的にアレしようかぁなと。

言いたいこと、色々濁しています。

後あとのことを考えて。

で、今回はこれを読みました。

 

 

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森見登美彦著 「太陽の塔

森見先生のデビュー作です。

この頃から、言葉選びの妙技の凄さと来たら「ボキャブラリー豊富」「センスを感じる」って言葉では済まされないくらいに素晴らしくもオモチロイ。

 

あらすじはこんな感じ。

私の大学生活には華がない。

特に女性とは絶望的に縁がない。

三回生の時、水尾さんと言う恋人が出来た。

毎日が愉快だった。

しかし、水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!

クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。

失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ作品。

 

失恋を経験したは分かる、これから失恋する予定の人って・・・。

つまりは、失恋ソングならぬ、失恋小説ってところかしらね。

 

まぁ、ザックリ言うと、ストーカーの話ですよね、表面的に読むと。

「水尾さん研究」と称して色々と付け回したり、行動パターンを調べたり。

そして・・・「彼女はなぜ、私のような人間を否定したのか」と言う疑問を解き明かす為の行動と言い訳するwww

トーカー犯罪とは根本的に異なるものであったと言うけど、ストーカーはみんな同じことを言うよね。

そんな悪辣なことを書いてますが、薄暗い雰囲気はなく、寧ろコミカルな印象があります。

解説には、「初めての恋人、失恋、そして再生を助けるセラピーのようなものらしい」とある。

まぁ、確かに普通のストーカーなら、相手の女性をどうにかしようとするけど、この主人公は、ただ観察するだけであるからね。

それでも、迷惑野郎には変わりないけど・・・。

 

そんなダメ人間の主人公であるが、友人も、周りの人も、先輩もみんなダメ人間www

失恋小説って言うか、ダメ人間小説って言っても過言ではない。

主人公と精神的高みを目指し、あらぬ方向へ切磋琢磨していく「夢を無くした男」飾磨。

鋼鉄製の髭にまみれた心優しき巨人にして、壊れかけのレイディオな魂を持つ世間から誤解される事の多い聖人「オタク」である高薮。

精神のところかまわずに深い穴を掘り、自らそこへ身を投げ続ける法界悋気の権化井戸。

主人公とは別に水尾さんを付け回す遠藤。

かつて水尾さんを巡って争った熱血漢の海老塚先輩。

この物語で唯一常識人である、主人公達の妄想を打ち砕く「邪眼」の持ち主の植村嬢。

改めて書くと、悪い意味で個性的なキャラクターばかりだな、コレwww

 

森見小説と言えば、印象深い言葉とセリフの数々。

「ジョニー」を鎮めるために、「野獣調伏用のビデオ」を求め、「桃色の迷宮」で物色。

「ゴキブリキューブ」のやりとりには、笑えてしまう悲しさと、生命の神秘と、実際の場面を想像したら叫べる。

愛車「まなみ号」(自転車)は著者の大好きな方から抜粋、ちなみに解説も書いてます。

事あるごとに言う「紳士的」と「男汁」等の単語。

飾磨の中学であったタイムカプセル的な「夢玉」、謎のラーメン屋台「猫ラーメン」、恐怖の「京大生狩り」。

悲劇のきっかけであった?「ソーラー招き猫」やら。

若者は恋人同士ですごさないといけないと言うイデオロギーである「クリスマスファシズム」は1980年代からある概念なのか。

それに対抗して、飾磨が企む「ええじゃないか騒動」については。

「本当にクリスマスイブの予定はあいてるのか?」

「何をいまさら」

「もし、何か予定があるなら、俺はいいぞ。俺一人でもやるからな」

「私を見損なうな」

このシーンが一番好きで、なんかこーゆーやりとりしたい。

 

この作品で好きな言葉と言えば。

「幸福が有限の資源だとすれば、君の不幸は余剰を一つ産み出した」

主人公と水尾さんの最後の紳士的話し合いの後に、飾磨へ事情を書いたメールを送った後の彼の返答である。

あとに続く「その分は勿論、俺が頂く」の言葉は彼らしい。

 

そういえば、この本のタイトルである「太陽の塔」について。

割と重要な気もするけど、そんなに語ることないwww

つまり、主人公と水尾さんの思い出の場所でもあり、水尾さんは一目見て魅了された「宇宙遺産」である、以上。

 

最後に・・・。

恋したごときで何を威張るか。恋するものはそんなに偉いか。

 

恋愛はあくまで背徳の喜びであり、恥ずべきことであり、できることなら人目を避けて味わうべき禁断の果実なのだ。

 

満天下に蠢く腕を組んだ男女たちに言いたい。

「生きよ(けれども少しは)恥よ」と。

 

いやぁ、こじらせてるなぁ・・・。

でも、凄く共感できるから、俺も同じくこじらせています。

この本の後ろに「失恋を経験した、予定のある」って書いてあるけど、色々とこじらせた人にも向けてますよね。

まとめると、「失恋を経験し、色々とこじらせた人」向けです。

もう、「恋愛万歳」って人向けじゃないよね?

 

そんな失恋ダメ人間小説が好きです。