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妄草の想原

妄想、連想、感想、そして愛想

【読書】 「いたいのいたいの、とんでゆけ」を読んでみた

今回の読書コーナーは、またまた三秋縋作品です。
今回は、本書書下ろしみたいですね。

 

 

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「いたいのいたいの、とんでゆけ」

あらすじは、こんな感じ。

全ての始まりは主人公「湯上瑞穂」が12歳の時に父親の仕事の関係で転校してしまうところから。
転校の日、面識のないクラスメイトの女子「日隅霧子」から文通の誘いを受け、断り切れなかった湯上は文通をすることになった。
そして、文通より、日隅が自分と価値観が似ている事を知る。
それ故に互いに惹かれあう湯上と日隅。
しかし、その手紙のやりとりは中学生になってからは・・・。

 

22歳、親友の遠藤が自殺して、心の寄り処を失った湯上は部屋にこもる様になった。
ある日、親友の言葉を思い出し、日隅に会いに行こうと決意。
しかし、日隅に会うことはなく自暴自棄になり、飲酒運転をした結果・・・。
ある少女を轢いてしまう。
だが、その少女は生きていた。

彼女は「先送り」と言う能力を発動して10日間「轢かれた」と言う事実を先送りした。
「先送り」の能力の効果が切れれば、彼女は命を失い、湯上は彼女を殺した罪(事実)を得る。
彼女が生きていられる10日の間に、彼女は自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意する。
轢いてしまった湯上は、彼女に「殺人鬼」と罵られながらも、償いとして彼女の手伝いをする。


で、この主人公の湯上と少女と日隅と言えば。


安定の救いようのない環境と歪んだ性格の主人公とヒロインです。


まぁ、この著者の作品を3作も読んでいれば、そう感じますよ。
基本的に、主人公達は救いようない環境で育ってますから。
そんな、「歪」同士の物語。

少女の持つ「先送り」の能力は、彼女の身に起きた嫌な出来事を一時的に「なかったこと」に出来る。
それは、文字通り先送りにしたに過ぎないので、ある程度の時間が経過すると、「なかったこと」は解除され、起こった出来事は「事実」として戻る。
先送り出来る時間は、彼女の起きた不幸の大きさと願いの大きさに比例する。

物語は、順調に少女は復讐を果たす。
だが、その復讐も少女の能力が解除されたら元通りになる。
元々、彼女は死んでいるから。
全てが元通りになれば、復讐した「事実」は「なかったこと」になる。
元々は、その「復讐された事実」は「なかったこと」だからね。
一種のパラドックスですよ。

その復讐に意味は無かった。
全ては彼女の自己満足の為。

と、これ以上書くとネタバレしそうなので、自重するけど、最後にはどんでん返しが待ってるって事で。
まぁ、彼女の能力とどんでん返しって言うと、察しの良い人は分ってしまいそうな気もするけどwww
察しの悪い俺は「おぉう、どんでん返しだねぇ~」ってなった。

で、感想。


陰鬱。


ただの陰鬱なだけじゃないんだけど、この作家さんの方向性と言うか、最後にある種の救いはありますが。
でも、やっぱ陰鬱。
よくよく読んでみると、実は日隅って自分の願い叶っていたんだね。(←ささやかなネタバレ)

とりあえず読了感は、「三日間の幸福」を読んだ時の感じでしたね。
あそこまでのハッピーエンドじゃないけど・・・。


ただ人が死にまくるだけのミステリーって奴よりは読了感は良いんだけどね、最後の救いのお蔭で。

と、こんな感じで、「いたいのいたいの、とんでゆけ」を読んでみたでした。